FACTOTUM

January 29, 2012
“不安は他者との関係から生じます。ユダヤ思想家のマルティン・ブーバーは、人間が世界に対してとる関係を二つに分けます。ひとつ目が「我と汝」という、相手を自分と同じように大切にする関係、二つ目が「我とそれ」という相手を利用できる対象と見なす関係です。この場合の相手は人間に限らず、動物、植物や自然であっても、それを自分と同じように大切にするときは、「我と汝」」という関係が生まれます。ブーバーは「愛は〈われ〉につきまとい、その結果、〈なんじ〉をただの〈内容〉や、対象としてしまうようなものではない。愛は〈われとなんじ〉の〈間〉にある。このことを知らぬひと、自己の存在でもって、これを認めようとしないひとは、たとえ、ものを感得し、経験し、楽しみ、表現する感情を愛であると主張しようとも、愛を知らぬひとである」(植田重雄訳『我と汝・対話』岩波文庫)と強調します。愛は不安を克服する力を持っています。(朝日新聞2012年1月29日)”